酸化ストレスという言葉自体あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、酸化ストレスと睡眠の関係が注目されるようになっています。
増えることで脳細胞や神経系へ影響をあたえるとも言われている酸化ストレスの原因や対策法を紹介します。
酸化ストレスとは
酸化ストレスとは身体の中にある酸素の一部が変化することで活性酸素種(ROS)というものに変化することで細胞の核やたんぱく質などを酸化させることで身体に悪影響を及ぼしている状態を言います。
酸化ストレスは酸化ストレスマーカーという検査である程度体内での状態を知ることが出来ます。
最近では神経変性疾患の方に酸化ストレスマーカーの上昇があると報告されており、神経系疾患への関連性が注目されています。
酸化ストレスの原因とは
酸素が体内で変化することで活性酸素となり、体内のいろいろな部分で酸化を起こすことで悪影響を起こしている状態が酸化ストレスであることはわかりました。
それでは酸化ストレスの原因となる活性酸素はなぜ大量にできてしまうのか原因をチェックしましょう。
活性酸素は細胞レベル
私達の身体は沢山の細胞からできていて、細胞内にはミトコンドリアなどの生きるために必要なエネルギーを作り出す器官などが多く存在しています。
今回も問題となっている活性酸素は実は一説によると細胞内に存在するミトコンドリアがエネルギーを生み出す際に出るとも言われています。
他にも活性酸素を作り出す器官として細胞内にある小さな器官の1つであるペルオキシソームという部分が色々な酸化反応を起こす部分であるため、ここで活性酸素が作り出されているとも言われています。
ストレスにより増える
よくストレスが多いと活性酸素が増えて身体に悪いと聞きますが、なぜストレスが溜まると活性酸素が増えるか知っている人は少ないと思います。
ストレスを受けると身体はストレスから身を守るために副腎皮質ホルモンというホルモンを分泌します。
この副腎皮質ホルモンを作り出す過程で活性酸素が大量に作り出されると言われています。
ストレスを日常的に受け続けるとホルモン分泌が多くなりそれとともに活性酸素の量も体内で増えてしまうというわけです。
紫外線による影響
活性酸素はそもそも体内に入ってきた悪い物質に対して攻撃をするために体内に存在している成分で、健康な状態では問題になることはありません。
しかし、紫外線などを浴びすぎると紫外線によってダメージを受けた部分に活性酸素が大量に発生して、紫外線によって変化した細胞などに攻撃を始めます。
こうなると沢山発生した活性酸素によって健康な細胞なども攻撃を受けるようになり、肌老化などを引き起こす原因となります。
喫煙によって増える
活性酸素を体内に増やす原因として有名なのがタバコを吸う事です。
タバコを吸うとタバコの有害物質が体内に入り込み影響をあたえるため、有害物質から身を守るため大量の活性酸素を発生させます。
タバコの煙には活性酸素の一種である過酸化水素も含まれているため、煙草の煙によっても活性酸素がどんどん体内で増えることが分かっています。
脂っこい食事による影響
唐揚げやポテトチップスなど脂っこい食事を頻繁にとっている方は要注意です。
脂っこい食事は肝臓で消化分解されますが、この肝臓で消化分解する過程でも活性酸素が発生します。
なので日常的に脂っこいものを大量に食べる人は野菜中心の生活の人より活性酸素を作り出す頻度が多いため、活性酸素が多くなる傾向にあります。
不眠状態による影響
実は酸化ストレスに関する研究に睡眠時の脳の状態と覚醒時の状態を比較して酸化ストレス状態を調べたものがあります。
その結果によると脳が覚醒している間は脳内に酸化ストレスが生み出されており、この酸化ストレスの値が大きくなることで眠気を誘発していることが分かりました。
つまり通常であれば起きている間に蓄積された酸化ストレスがきっかけで眠気を感じて睡眠をとることで酸化ストレスの減少が起きます。
しかし、不眠状態でなかなか寝れないという方は覚醒状態の時間が長くなるため酸化ストレスにさらされている時間も長くなる傾向にあります。
活性酸素の種類
酸化ストレスを起こす原因でもある活性酸素は実はいくつかの種類が存在しています。
スーパーオキシド
一般的に活性酸素というとイメージされるのがスーパーオキシドです。
この活性酸素はミトコンドリアがエネルギーを生み出す時の代謝に関わって排出される活性酸素と言われています。
身体に入ってきた最近などを攻撃するのにも使われ、私達が呼吸をして代謝活動を行っている以上は必ず生み出される活性酸素です。
ヒドロキシラジカル
ヒドロキシラジカルは活性酸素の中でも最も酸化力が強い、この活性酸素が体内に異常に増えた状態が続くと高い確率で死亡するケースが多いことで知られています。
過酸化水素に紫外線が当たることで発生する成分で色々な成分と反応しやすい性質を持っていますが、通常の環境下では長時間存在することは出来ません。
一部では悪玉活性酸素などと呼ばれており、水素水によって除去ができると注目された成分です。
過酸化水素
過酸化水素は漂白剤などにも含まれている成分で強い酸化作用を持っている反面、還元作用も持っています。
性質としてはヒドロキシラジカルを発生させやすいため、単体で悪影響をおよぼすというよりは反応することで強力な活性酸素生み出す成分です。
高濃度のものが直接皮膚についたりすると強い腐食作用があるため痛みと白斑が生じることでも知られています。
一重項酸素(いちじゅうこうさんそ)
一重項酸素は紫外線を浴びたりすることで体内で反応が起き発生する成分です。
一重項酸素が生体内に発生すると近くの細胞と反応して破壊するため、紫外線による細胞への影響に関わっている成分と言えます。
通常は一重項酸素が発生すると身体の中で防御反応が起きてビタミン
などに寄って除去する活動が行われます。
酸化ストレスと脳への影響
実は不眠やストレスによって強い酸化ストレスが日常的に起きていると脳内では神経細胞の死が誘引されるようになる事が分かっています。
強すぎる酸化ストレスが脳内に多く存在すると神経細胞が死にやすくなるため、神経細胞と関わりのあるアルツハイマー病やパーキンソン病などが起きやすくなると言われています。
睡眠と覚醒サイクルに伴う酸化ストレスの増減についてはまだ不明なところが多いですが、不眠と神経細胞の死に関しては関わりが深いと推測されているため注意喚起がされています。
酸化ストレスを増やさないには
酸化ストレスを体内に増やさないようにするには、しっかり睡眠を取って脳を休息させることが重要です。
脳が活動を続けているとその間に代謝活動が行われてどうしても活性酸素が生まれます。
他には抗酸化作用を持つことで知られるビタミンCやβ−カロチンなどの抗酸化成分を毎日積極的に摂取することが対策として有効です。
まとめ
酸化ストレスは身近な生活習慣のちょっとしたことでも発生しているので、意識して抗酸化成分などを積極的に取り入れることが対策としては重要です。
活性酸素は老化だけではなく神経系の病気の原因とも関わっていると言われているため、アルツハイマーなどの神経変性疾患を予防するためにもしっかり寝て活性酸素が増えすぎるのを防止することは非常に重要です。
不眠は放置しておくと精神だけではなく酸化ストレス増加の原因ともなり、将来的な疾病リスクを上げる原因となるためなかなか寝れないと感じる時は睡眠サポートサプリなどの活用も検討することをオススメします。
参考:酸化ストレスと睡眠